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会長挨拶
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 2023年度より、日本交通心理学会会長に再任されました蓮花一己です。新型コロナウイルスの流行もようやく治まりつつあり、日常生活が復活しつつあることは大変喜ばしいことです。コロナ流行下では、学会の運営面や活動において多くの制約を受け、会員の皆さまには多大なご迷惑とご心配をお掛けしたことをお詫び致します。新たな年度においては、従来の水準を超えた新規事業を会員の皆さんと共に実施していく所存ですので、どうかご支援・ご協力のほどお願い申し上げます。
 以前から申しているように、本学会は、研究者と実務家が両輪として、交通事故防止に取り組むことを提唱しています。研究者の皆さんには研究面での専門的知識や研究技法のスキルがあります。一方、実務家の皆さんには、教習所や会社で、実際のフィールドを有しており、実務面での専門的知識や実務スキルがあります。さらに、各々のフィールドにおいて、現実社会の様々な人々との交流があります。事故等の交通問題を解決するためには、研究者と実務家の両者の協働は必要というよりも不可欠と言えます。
 私が研究者を志してから半世紀になります。これまで、行政(国、自治体、警察等)、損保会社、自動車関連メーカー、道路会社、教習所等と一緒に多くの研究・実践活動を推進してきました。20年ほど前からは、高齢ドライバー調査を全国の教習所10数か所で実施してきました。教習所指導員の方々からは高齢者の実態や優れた教習手法を教えて頂きました。こうした経験を活かして、学会会長としての新たな3年間で、研究者と実務家を繋ぐプラットフォームとしての学会の役割をこれまで以上に推進していきたいと考えています。質の高い情報発信だけでなく、学会等での学術交流、さらには小さなもので良いので、地域の課題解決に向けた研究者と実務家の「共同研究」が実施できればと思います。
 日本交通心理学会の学際性と国際性を一層高めることも重要な課題です。近年は、本学会と交通工学等の工学系や作業療法等医学系の学会・研究会との交流も進んできました。他分野の研究者との交流により、視野が広がるとともに、共同研究にも結びつくことを期待しています。国際交流や国際共同研究の推進は一朝一夕にはできませんが、本学会では、日本・北欧交通心理学シンポジウムの開催や日仏交通安全ワークショップの開催などの実績があります。コロナ流行が一段落して、世界的に国際会議が復活しつつあります。学会としても、会員に対して、国際交流を積極的に支援したいと考えています。
 さらに、交通心理士制度の発展は、本学会の大きな課題です。国や地方自治体の活動に対しても、交通心理士が積極的に関わっていく時代になりつつあります。交通心理士の皆さんは、各自の力量を高めて、国民の負託に応えられる高度専門的職業人として活躍してください。学会では、交通心理士の育成と支援にこれからも努力いたします。
 会長任期の次の3年間において、交通事故の減少をはじめ、交通問題の解決に向けて、これまで同様、学会として力を結集できることを願っています。会員の皆様のご支援とご協力をお願いする次第です。

2023年4月


沿革
1975年        日本交通心理学研究会として創立
1982年        日本交通心理学会に名称を変更
1986年        学会誌「交通心理学研究」発行
2002年        日本交通心理学会認定「交通心理士」資格制度発足